津軽三味線のステージがあるなど東北ならではの演出もある地元密着型のフェス。写真:(c〉ARABAKI  PROJECT
津軽三味線のステージがあるなど東北ならではの演出もある地元密着型のフェス。写真:(c〉ARABAKI PROJECT

「2020年は全国的にほとんどのフェスが中止。2021年は地域によって差が出た」というのは、ARABAKI ROCK FEST.のプロデューサー・菅真良さん(株式会社GIP)だ。

「関東の千葉、埼玉などではフェスに対する理解が高かった印象があります。ARABAKIのお客さんは関東圏からが3割で、東北の近辺の方が7割。宮城県と山形県の県境にあり、お客さんはどうしても県をまたいで移動することになる。会場がある川崎町のみなさんの心境を考えると、慎重にならざるをえませんでした。地元のみなさんからは“長年続いたイベントだし、開催したほうがいいのでは”という意見もあったのですが、県の医師会から“お願い”と称した開催反対の手紙が届いたり、議員の働きかけなどもあり、中止を決断しました」

■アーティストがイベント収益の寄付やテーマソングの提供でサポート

 昨年の春以降、フェスを主催する株式会社GIPのスタッフは、行政や会場など関係各所との打ち合わせを重ね、少しずつ理解を深めると同時に、2022年の開催に向けて動いてきた。

 その根底にあるのは、「生のライブの感動を伝えたい」という一心だ。

「2年以上こういう状況が続き、若い世代のなかには“ライブを観たことがない”という人も増えている。そうすると“ライブはリアルじゃなくて、配信でいい”という傾向が強くなる気がするんです。生のコンサートの感動は、実際に観てもらわないと味わえない。ライブの文化を下の世代につなぐためにも、ARABAKIは続けていきたいと思っています」 

 また、出演するミュージシャン側もARABAKI継続のために様々なサポートを行っている。昨年の5月には、ロックバンドBRAHMANのTOSHI-LOWの呼びかけにより、ARABAKI出演予定だったアーティスト総勢20組が出演し、無料配信イベント「THINK of MICHINOKU」を開催。配信ライブ当日の模様を収めた写真集を販売し、収益はすべてGIPに寄付された。

 さらに、このフェスに縁のあるアーティストたちが、会場のみちのく公園がある宮城県柴田郡川崎町の公式テーマソング「大好き!宮城県川崎町(みやぎけんかわさきまち)」を制作。作曲はARABAKI ROCK FEST.で“荒吐親善大使”をつとめるシンガーソングライターの堂島孝平が担当。ボーカルには東北を中心に活動中のバンドTHE ARNOLDS、indischordのメンバーが参加している。

「アーティストのみなさんがARABAKIのために動いてくれているのは本当にありがたいです。オリジナルのセッションも、ARABAKIの風物詩。今年こそは、会場に来ないと味わえないステージをしっかり作っていきたいと思っています」

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2022年春、3年ぶりの開催を目指す