■音楽シーンの未来がかかっている“野外フェスの復興”
2000年前後からはじまった音楽フェスの盛隆は、日本の音楽文化の発展に大きな役割を果たしてきた。この2年間のフェスの停滞は、演奏の場を奪われたアーティスト、音楽制作・ライブ制作を生業にしている人々、そして、音楽を愛するファンを含め、多くの人に多大なダメージを与え続けている。大げさかもしれないが、この国の音楽シーンの未来は、“フェスの復興”にかかっていると言っていい。
3年ぶりの「ARABAKI ROCK FEST.」には、The Birthday、ASIAN KUNG-FU GENERATIONといったベテラン勢から、Vaundy、マカロニえんぴつといった気鋭のアーティストまでバラエティに富んだアーティストが出演する。
「コロナが完全に収束するのは、かなり先になるはず。それまではコロナと共存しながらフェスを運営するしかないと思っています。この2年間、弊社GIPの社員達は、ライブシーンを継続するという強い想いで必死にライブ運営をしてきました。その情熱へ最大限感謝しながら、培ったノウハウを活かし、安全第一で次に繋がる開催をしたいです」という菅氏。
抗原検査キットや接触感染アプリの活用、体温・健康チェックのシステム、感染者が出た場合の追跡・報告フローの確立など、コロナ禍においてさまざまな対策が見えてきたが、数万人の観客を動員するイベントでそれらを徹底するのは費用的にも労力的にも主催者の負担は大きい。なにをすべきか、開催時期の感染状況を踏まえて臨機応変に対応するしかない。そのために今は、さまざまな準備をしているという。
フェスシーズンの先陣とも言える「ARABAKI ROCK FEST.」は、今年のフェス全体の動向を大きく左右することになるはず。一人の音楽ファンとして、無事に開催されることを願ってやまない。
(森 朋之)
ARABAKI ROCK FEST.(アラバキロックフェスティバル)/2001年(平成13年)から毎年、仙台都市圏の郊外地域で行われている、東北地方では最大級の音楽フェスティバル。今年は2022年4月29日(金・祝) ~5月1日(日)の期間、 みちのく公園北地区「エコキャンプみちのく」での開催が発表されている。