衆院で新年度予算案が可決され、岸田文雄首相(右)と肘タッチする国民民主党の玉木雄一郎代表
衆院で新年度予算案が可決され、岸田文雄首相(右)と肘タッチする国民民主党の玉木雄一郎代表

 では、「中道」はどうか。国民民主の動きは、自民保守派に近い。改憲に前向きで憲法審査会の早期開催に維新と共に協力している。敵基地攻撃能力にのめり込む姿を見ても、同党は「右翼」と言ってもいいくらいで、「中道」は大嘘である。

 こうみると、国民民主の「改革中道」の旗は完全に偽看板で、国民を欺くものだ。

 ただ、嘘をつきたくなる理由はよくわかる。なぜなら、自民は、改革できない守旧派で右翼。つまり、国民民主とほぼ同じ。だから自民・国民連立でもおかしくない。維新は、新自由主義的効率最優先の「古い改革」政党ではあるが、やはり右翼で外交安保では戦争に向かうリスクが高い。

 一方、共産党と立民のリベラル派は、左翼ないしリベラルで平和勢力かもしれないが、改革派ではない。

 つまり、国民が真に望む改革ができて、しかも戦争には向かわない中道ないしリベラルの政党がないので、そこに国民民主が偽看板を立てたのだ。

 では、立民はどうすれば良いのか。連合とのしがらみを断ち切り、真の改革・リベラル、あるいはより明確な「改革・不戦」の旗を掲げ、国民民主との違いを際立たせる作戦で参院選を戦ったらどうだろうか。



週刊朝日  2022年3月11日号より

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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