大友学長は「シェルターでおびえる子どもたちの姿を見よ」と、戦争の悲惨さについて具体的なシーンを提示した。
「わたし自身、医者なので傷ついた子どもたちに目がいってしまいます。戦争が表す一つの姿であり、子どもたち自身が望んでいるわけではありません。戦争や貧困で苦しんでいる人たちに手を差し延べたり、声をあげたりすることこそ大事だと考えています」
新潟県立大は地理的にロシアと近い。こう発信している。
「2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。武力による一方的な侵攻は決して容認できるものでなく、事態を深く憂慮し、一日も早い平和的解決を強く求めます。
この事態により、ウクライナやロシアに関わる本学の学生、教職員及びご家族が影響を受ける可能性があります。本学は、事態の行方を注視しつつ、関係者と連携して必要な支援をします。 2022年2月27日 新潟県立大学学長 若杉隆平」
同大学はロシアの大学と学術協定を結んでおり、学生、教員とのあいだで交流が盛んに行われている。国際地域学部や国際経済学部にはロシア語、ロシア経済などを学ぶ授業がある。
若杉学長は声明に込めた思いをこう話した。
「日本とロシアのかけ橋になりたいという学生が多く、それゆえ、今回の事態に深く憂慮し、一日も早い平和的解決を求める声明を出しました。大学にはロシア、ウクライナに関わる教員や学生がおり、中傷されたり差別を受けたりすることが懸念されます。また、ロシアについて学びたいという学生のモチベーションが下がってしまうことになりかねません。不安を抱き動揺させないよう、大学は学生、教員をしっかりサポートします」
新潟県立大学は地域性、人間性、国際性の3つの理念を掲げている。若杉学長はこう続ける。
「このなかで国際性については、つまり国際間に垣根を低くしてさまざまな人が理解し交流することがきわめて大切であり、それが今回の声明につながったわけです。声明は学長であるわたしの名前で出しましたが、大学のみなさんの思いが集約されたものと考えています」