明るく元気なキャラクターで有名な料理愛好家、平野レミさんの新刊『おいしい子育て』(和田誠・絵 ポプラ社 1540円・税込み)は、「食」でつながる家族の物語や料理の喜びにあふれたエッセー集だ。
「子どもが苦手だったピーマンを細かくしてお弁当に入れたら、全部食べてくれたので『すごいね~』と言ってほめたり、お正月や端午の節句などのお祝いもしてきたので、その思い出話をいっぱい掲載しました」
子どもの頃から料理が好きで、結婚後も、料理人としての「シェフ」ではなく、手軽で美味しい家庭料理愛好家としての「シュフ」を貫いている。
「小さい頃から積極的に母の手伝いをしましたが、包丁は危ないからダメとか一度も止められませんでしたね。そうやって、興味あることを体験させてもらえたことが、結婚後も役立ちました。好きなこと、やるべきこと、やりたいことが一致していたんですね」
テレビ番組では、数えきれないほどのレシピを紹介してきた。
「やっぱり私は基本が食いしん坊なんですよ。他の番組で見た料理が美味しそうと思うと、すぐに材料を買いに行ってしまう。料理って算数じゃないんです。1+1が2ではない。レシピにとらわれずに作って、予想より美味しくなると、うれしくなってまた作る。面倒くさいと思ったことは、一度もなかったですね」
長男の唱さんと次男の率さんを育てた昭和の時代は、家庭料理が一般的だった。だが、今やスーパーやコンビニにはお惣菜が豊富に並ぶ。そんな中で、どのように子どもたちの食事を作ればいいのか。本書には、現代の母親たちにとっても食育の手引きとなるヒントが詰まっている。
「お母さんの手料理の味は大事で、子育てには必要なことだと思います。市販の柔らかいパンばかり食べると顎があまり発達しないというし、出来合い物のご飯ばかりでは、心と体が十分に育つか心配です。キッチンでお母さんが手料理を作りながら、子どもの話を聞くというコミュニケーションも大切だと思います」