中山健夫(なかやま・たけお) 医師。京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授。国立がんセンター研究所がん情報研究部室長などを経て、2006年から現職。日本医療機能評価機構Minds運営委員長などを務める
中山健夫(なかやま・たけお) 医師。京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学分野 教授。国立がんセンター研究所がん情報研究部室長などを経て、2006年から現職。日本医療機能評価機構Minds運営委員長などを務める
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 インターネットや新聞、テレビ、書籍、雑誌などからSNSまで、私たちの周りには情報があふれかえっていて、助けになるものもあるが、怪しいものもたくさんある。とくに健康や命に関わることであれば、信頼に足るものを探し、検証し、選択するのには大変な労力と勇気がいる。納得して治療を受けるために患者の私たちが、いま知っておきたいことを探った。好評発売中の週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』の創刊20年特別企画から、一部抜粋してお届けする。

【誤った「医療情報」に振り回されない6つのポイントは?】

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■治療には益と害がある。このバランスに注目を

 医療の進歩により、この20年の間にも、新しい薬や医療器具は続々登場し、治療の選択肢はこれからさらに増えるとみられている。

 インターネット上では日々医療情報が発信され、テレビや新聞、雑誌などでも、疾患の解説や病院紹介が特集されている。これら大量の情報を上手に使って意思決定する力を「情報リテラシー」「ヘルスリテラシー」という。京都大学大学院で健康情報学を研究する中山健夫医師は、こう指摘する。

 「世の中には、健康に関する怪しい話がたくさんあります。それも皆さんが思っている以上にたくさん。時には医師や大手メディアが、誤った情報を発信することもあります」

 自分や大切な人が重い病にかかったとき、多くの人は強い不安を感じて、何かに頼りたくなるだろう。そんなとき、医療情報を読み解く助けになるポイントを上にまとめた。厚生労働省は「統合医療」情報発信サイトで「情報を見極めるための10か条(https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/hint/index.html)」などを掲載していて、これも参考になる。

情報はうのみにせず、信頼できるかどうか、上記の2つの3カ条などを参考に、検索・検証する癖をつけたい
情報はうのみにせず、信頼できるかどうか、上記の2つの3カ条などを参考に、検索・検証する癖をつけたい

■標準治療と先進治療の違いを理解

 話を進めよう。治療法を検討するときには、まずは「標準治療」を最優先に考えるのが一般的だ。標準治療とは、臨床試験による十分な研究や専門家の経験と検討により、有効性と安全性が確認された治療のこと。益が害を上回ることが期待でき、現時点で最善の治療といえる。

 一方、よく耳にする「先進医療」は新技術で開発されたものだが、まだ十分な数の人間で有効性と安全性が確認されていない、あるいは確認中の治療なのだということを、念頭においてほしい。

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治療後も「生活の質」を保ち、長生きするために