これで夫まで陽性になったら? ヤタローの介護や看取りはどうなるの? 幸い、夫は陰性で、猫の世話ができました。
一方、私は抜釘手術が終わった後、(息子がコロナに感染したので)猫のために、退院の予定を一日早めてもらうことができました。
ヤタローと対面すると、だいぶ弱って声は出せなかったけど、にゃあ(お帰り)と鳴こうとして喜んでいるみたいでした。コロナで隔離された息子もあと少しで帰宅できるので、「皆がそろうまでがんばろう!」と話しかけていました。
ヤタローは私の退院の二日後、(2020年10月23日)息子が戻る日の明け方に、私の傍らで静かに息を引き取りました。号泣しました。親が死んでもこんなに泣かなかったと思うくらい泣き、フラフラになるくらいでした。
亡くなった後に息子にラインで知らせると、「ちゃんと世話をしたかった。コロナのばかやろう」と、泣いていました……。息子は自分に罪悪感を抱いてしまったようで、なにも言葉がかけられなかったです。
◆フェルト人形として帰ってきたヤタロー
私はヤタローが亡くなった後、化膿してしまった脚の治療のために10月末に再入院。その直後、ヤタローを慕っていたマメも腎不全で動物病院に入ったのです。その年の夏にはボス的猫も見送っていたので、家の(猫の)環境が変わってしまうことが不安でした。
ヤタローたちがいないことを思うと、退院することが怖くなり、このまま退院したくないなんて思ったり。
退院して帰ると、猫にエサをあげる時に、私は無意識にヤタローの分までお皿を並べていました……それに気づいて泣き、仕事がない日はSNSにあげた過去の猫の写真を見て、思い出してはまた泣いて。鬱っぽくなりかけていたのかもしれません。
そんなとき、ある方が作る羊毛フェルトをネットで目にしました。写真から作るリアルで可愛い猫や犬の作品です。「はっ」としました。欲しいなって。
その方はリクエストに応じていなかったそうですが、私がヤタローをなくした心境と、作って欲しいというお願いをメールすると、第一号として引き受けてくださいました。そして2カ月して、羊毛フェルトのヤタローが家に“戻り”ました。