室伏由佳(むろふし・ゆか、左):1977年生まれ。スポーツ健康科学博士。順天堂大学スポーツ健康科学部准教授。2004年アテネ五輪陸上女子ハンマー投げ日本代表/早川吉尚(はやかわ・よしひさ):1968年生まれ。弁護士。立教大学教授。スポーツ仲裁裁判所仲裁人、日本アンチ・ドーピング規律パネル委員長(撮影/写真部・東川哲也)
室伏由佳(むろふし・ゆか、左):1977年生まれ。スポーツ健康科学博士。順天堂大学スポーツ健康科学部准教授。2004年アテネ五輪陸上女子ハンマー投げ日本代表/早川吉尚(はやかわ・よしひさ):1968年生まれ。弁護士。立教大学教授。スポーツ仲裁裁判所仲裁人、日本アンチ・ドーピング規律パネル委員長(撮影/写真部・東川哲也)

室伏:昔ある海外選手から「みんな(禁止物質を)使っていると思っている」「良い成績が出た選手は見つからない良い薬を飲んでいてずるい」という発想の人も存在すると聞きました。フェアネスの観点が異なる。そうした選手がドーピングに至る前に教育により予防していくことが大切だと思います。

早川:私はドーピング予防のためには、教育も制裁も総力戦でやっていかなければ実現できないと思います。日本では18年にドーピング防止活動推進法ができましたが、刑事罰はなく、反ドーピング機関には強制的な捜索差し押さえ権限もない。これらの整備は今後、日本で国際大会を開くためにも必要です。

■年齢制限の引き上げ

──国際スケート連盟が年齢制限を15歳から17歳に引き上げることも検討しています。

早川:フィギュアスケート女子ではこの数年、少女ばかりがメダルを取っています。体重が軽く、彼女たちはまだ女性の体になり切っていないため、回転やジャンプに有利。一方、心肺機能は成人に比べて弱い。そうするとドーピングの誘惑にかられ、体は少女のまま、心肺機能のギャップを薬で埋めさせる。現在のように4年前の金メダリストが出場さえできないのは異様です。年齢制限を上げることや、ジャンプの回転数を重視する評価基準も議論が必要です。

(構成/編集部・深澤友紀)

AERA 2022年3月14日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
なかなか始められない”英語”学習。まずは形から入るのもアリ!?