ノーマルヒルになった最終戦のオーバーホフ大会はオスロに比べると少し硬さも出て、初日の試合は他の上位選手より少し強い追い風にあたった1本目で87.5mと7位だったが、2本目は93mを飛んで4位まで上げた。ただ、追い風0.52mだった高梨に対し、表彰台に上がった3人は0.13mの追い風から0.25mの向かい風と良くなった条件。そこが同等なら表彰台争いに食い込めている結果だった。

 その翌日の最終戦は、踏み切りのタイミングが遅れて9位になった1本目から2本目では96mを飛んで7位まで順位を上げた。その2戦とも、2本目のジャンプは特に、空中の中盤からの飛行はスピード感もあり進んでいることが見ていてもわかるようなジャンプだった。

 高梨にとって五輪は、勝ちたい大会であり、勝たなければいけない大会になっていた。だからこそ硬さも出たのだろうし、迷いも出たのだろう。シーズン最後で彼女が見せたのは、そんなプレッシャーから解放されたジャンプだった。まだ最後の着地のテレマーク姿勢の克服までは達してはいないが、苦しんだシーズンの最後にはやっと、進化し続けている高梨沙羅の姿を見せてくれた。(文・折山淑美)

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