だけど、そこは絶頂期の沢尻エリカが生放送で終始メンチを切ってきた時も、慌てる素振りすら見せなかった中山ヒデさんの包容力。実にベストな人選です。新庄さんの言わんとすることもストレートに伝わり、制作側も自然に放送に乗せられる。今回の提言は、実に意義深いものだったと私は思っています。やはり一介の女装タレントが生意気こいたぐらいじゃダメだということです。

 昔から、番組ならではの「決め台詞」はたくさん存在してきました。「ズームイン!」とか「Zip!」とか「カーウントダウン!」とか。そのような様式美は、これからも残すべきだと思う一方で、この「最後にひと言」には、「終わりよければすべて良し」的な日本人特有の意識と同時に、「見出しになるようなキャッチーなフレーズを」「名言的なものをひとつ」といった安直なさもしさがにじみ出ていて苦手なのです。長嶋さんの「我が巨人軍は永久に不滅です」も、北島康介の「超きもちー」も、別に促されて出たものではありません。一時期、紅白歌合戦でも歌い終わった歌手が「来年へのメッセージ」みたいなものを言わされる時期がありました。大相撲のインタビューでも「後半戦に向けて意気込みをお願いします」的なフリが定着しています。やめましょう。カメラ目線で「最後にメッセージ」を叫んで画になるのはプロレスラーだけです。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年3月18日号

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