菅は首相になり、次のようなことを言っていた。石炭火力や石油火力だと将来的に資源が枯渇してもたない。だから、発電電力量の構成比率で原発を50%以上にすべきだと。そうしたら、福島の原発事故が起きたの。原発が停止し、50%以上というのはどうなるんだと批判された。
菅とあまり付き合いはなかったが、僕が司会を務めるテレビ朝日系「朝まで生テレビ!」に出ることもあった。ちゃんと言いたいことを言える人だね。
ただ、米国のレーガン大統領について、俳優出身者は大統領になる資格がないような発言をして、パネリストだった映画監督の大島渚に「バカヤロー」と怒鳴られていた。俳優に失礼だと。もともと市民運動から政治家になった。だから本来、政権を持つようなタイプの人間じゃないのよ。
それで、民主党出身として3代目の首相に野田佳彦がなった。消費税を増税して10%にする、と訴えた。これに民主党内で反発したのが小沢一郎だった。党幹部に対する積年の怨念が深かった小沢の動きに、野田は対応できなくなった。民主党は分裂して結局、政権が瓦解(がかい)してしまう。
野田はね、かつて消費税を導入しようとした大平正芳を非常に評価していた。だから、野田の言うことは正解なの。あまり縁はなかったけれど、僕は野田を評価している。
改めて振り返ってみると、そもそも民主党が政権を握るなんて思ってなかった。
だけど、小沢が06年4月に代表になり、党が非常にしっかりして選挙態勢が強固になっていった。07年7月の参院選で実際、第1次安倍晋三内閣だった自民党を上回り、第1党へと躍進した。民主党が強くなって、「衆院選もいくぞ」「政権をとるかもしれないぞ」って感じだった。
ところが、小沢の秘書らが政治資金規正法違反の疑いで逮捕される西松建設事件が起きた。結局、小沢も代表を辞任して、鳩山に譲らざるを得なかった。だから、衆院選で民主党が政権をとった時、鳩山が首相に就いた。