袴を着て階段の昇り降りを練習しているところ/江利川さん提供
袴を着て階段の昇り降りを練習しているところ/江利川さん提供
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ネット通販で取り寄せた袴/江利川さん提供
ネット通販で取り寄せた袴/江利川さん提供

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害を持つ子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出会った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

■袴を着る子が多い

 3月は卒業シーズンですね。最近は大学生だけでなく、小学校の卒業式でも袴姿のお子さんを見ることが増えました。我が家の次女と息子が通った小学校も、例年、袴を着るお子さんが多くいるようです。

 まわりが袴姿で式に出席するなら、自分も着たいと思うのは当然ですが、足が不自由な息子には困難なこともありました。今回は、我が家の子どもたちの卒業式のことです。

 息子が5年生の時に、年子の姉(次女)が小学校を卒業しました。次女の学年は、男女ともに袴姿のお子さんばかりでした。それを見た卒業式後に、息子のクラスでは次年度のことが話題になったようです。

コウ 「来年の卒業式なに着る?となって、みんな、やっぱ袴でしょって言ってた。だからコウも袴がいい」

私 「うーん、いいんだけど、草履ってわかる?ビーサンみたいな靴。女の子は黒のブーツでも良いけど、男の子は草履なの。コウ、それ履いて歩ける?」

コウ 「…まぁ、何とかなるっしょ」

■「簡易型の袴」とは

 卒業式の会場では上履きに履き替えるので、最悪は靴でもいいように思いましたが、袴を着ると、もうひとつ心配なのがトイレ事情です。次女でもとても苦労したのに、朝から謝恩会が終了する夕方まで、学校やホテルのトイレで、自分で脱ぎ着ができるとは思えませんでした。でも、もう年齢的に一緒に入ることも難しく、何より息子本人が友人たちの前での介助を嫌がると思いました。

 けれども、そんな親の不安は関係なく、息子はすでに黒の袴がいいと決めたようです。

 いろいろ考えた結果、事前に練習ができるように、ネット通販で、次女の年の売れ残りとしてプライスダウンしていた、簡易型の袴を購入してみることにしました。

 簡易型の袴とは、衣がベストのように腰までの長さしかなく、合わせ部分をマジックテープで留めるものです。袴はロングスカートのようなイメージで、こちらもマジックテープやホックで留めます。歩きやすく、型崩れしにくく、何よりリーズナブルで、良い商品に出会うことができました。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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