撮影/写真部・加藤夏子
撮影/写真部・加藤夏子

気持ち的には逆に楽

――女子もROC勢を中心に4回転時代に突入している。そのなかで坂本は4回転やトリプルアクセル(3回転半)といった大技でなく、スピードと技術を磨くことに注力してきた。

坂本:ノーミスでも、他の選手が同じ内容でノーミスだったら負けてしまう可能性が十分にある。4回転やトリプルアクセルを入れている選手よりはインパクトが少ないというか、薄くなってしまいます。だから、どこかで自分にしかないものがあると証明しないといけないんです。自分の場合はジャンプの幅や流れ、スピードは他の選手にないものができると思っているから、それで勝負するしかないと。

 立場としては、どうしても大技を入れる人のミス待ちになってしまうんです。でも、(五輪では)気持ち的には怖いというより逆に楽でした。自分に集中してやりきれば……と思っていました。それで結果が出たのはうれしかったです。

――北京五輪で1、2、4位だったROC勢は、ロシアのウクライナ侵攻のため国際大会から除外された。世界選手権では坂本が金メダル候補筆頭となる。優勝すれば、日本女子では14年大会の浅田以来、8年ぶり6人目(9度目)だ。言葉を選びながらもまっすぐに答えた。

坂本:五輪メダリストとして初めて出る試合なので、(五輪が)まぐれだって言われるのも、自分がそう思うのも嫌なんです。きっちりメダルを取って、北京はあの結果で良かったんだなと思ってもらえるようにやりきりたい。優勝、狙ってます。

――女子のショートプログラムは23日、フリーは25日(ともに現地時間)にある。(構成/編集部・福井しほ)

AERA 2022年3月28日号から抜粋

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