イラスト/カトリーヌあやこ
イラスト/カトリーヌあやこ

 大学時代から凌介の小説の才能に嫉妬していた。真帆も彼に奪われた。表では親友の顔をしながら、偶然重なった家族の失踪を裏で操り、謎の事件に仕立て上げたのはすべて凌介への復讐。

「俺みたいな二律背反な悪役が必要だろ、物語には。(凌介を)助けてやったのは作品を盛り上げる演出!」と笑う河村。ちょっと待て、だんだん秋元康に見えてきた。

「お前には到底書けないような最高なノンフィクション小説を書くためにやったことだ!」

 畳む気がない風呂敷広げまくって、最終回に自画自賛か! って違う違う、秋元康じゃないって。

 日本テレビの朝の情報番組「スッキリ」は、やたらとこのドラマの考察に力を入れていたけど、最終回翌日のMC・加藤浩次は脱力していた。

「(宮沢りえが)ただの浮気した主婦だったってこと、ショックだよ」

 うん、ただの浮気した主婦でした。すべての考察を無にする秋元マジック。私の脳内で銭形警部がささやく。「やつはとんでもないものを盗んでいきました」。え、何を?「あなたの時間です」。秋元康、ルパン三世かよ。

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

週刊朝日  2022年4月1日号

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カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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