イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

 歌舞伎でも最近代役が多いです。3月8日の歌舞伎座第2部を鑑賞。片岡仁左衛門丈の『河内山』。幕切れの花道で突然立ち止まり、かなり足がつらそう。すると侍役が花道まで迎えに行き、河内山宗俊が侍に肩を借り、花道を引き返して本舞台上で、まるで台詞のように「早く(幕を)閉めろぃっ!」と叫んで幕となりました。明らかに緊急事態です。心配した通り、翌日から仁左衛門丈は体調不良で休演に。代役は中村歌六丈。ベテランとはいえ大変なプレッシャーでしょう。でも急に代役を任されてもすぐに出来てしまうのが凄い。勿論僅かな時間で必死の稽古をされるのでしょうが、急な主役の代わりなんて……考えるだけで恐ろしい。そんな時って不思議です。その晩、自分が『河内山』の代役をやる夢を見ました。なんとか『河内山』は出来ました。夢だけど。それにしても仁左衛門丈の一日も早い回復を祈るばかりです(※)。今はゆっくりお休みください。本当の『代役』はいない方ですから。

※編集部注 3月16日の公演から復帰されました。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『人生のBGMはラジオがちょうどいい』(双葉社)が発売。ぜひご一読を!

週刊朝日  2022年4月1日号

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