優秀な国公立大志望者を獲得したいのは慶應も同じ。以前から慶應は論述式を採用、経済学部や商学部では記述型の数学が必須の募集もあり、国立に近い形の試験をしている。入試日程は国立の前期日程まで期間が空くのも利点だ。

 圧倒的なブランド力や同窓生の高い結束力といった強みに加え、受験生の志向の変化も慶應にとって追い風かもしれない。

「少子化の影響で、小中高とクラスの人数が少ない経験しかなく、今の若者はマンモス大学を避ける傾向もある。慶應は小規模で定員が少ない国公立大と環境が近しく、居心地がいいと聞きます」(石原さん)

 一方、教育ジャーナリストで追手門学院大客員教授の西田浩史さんは「早稲田の逆襲が始まっている」と話す。

「1990年に慶應が総合政策学部を開設して、選択率で早稲田を逆転しましたが、早稲田に国際教養学部ができた2004年以降は追い上げ、今、早慶ダブル合格の進学先は再び早稲田が優勢です。看板学部の早稲田政経と慶應法では、早稲田が一気に逆転しました」

(本誌・秦正理)

週刊朝日  2022年4月1日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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