ロシア軍からの攻撃が続くウクライナの首都・キエフ (GettyImages)
ロシア軍からの攻撃が続くウクライナの首都・キエフ (GettyImages)

 食料だけではなく、日本はエネルギーも外国に依存している。これも後手の対応が続いている。

 3月23日に日本の国会で演説したゼレンスキー氏は、日本の支援に対して感謝の言葉を述べ、戦後の復興支援の協力を訴えた。だが、実はゼレンスキー氏は日本に高いボールを投げていた。『プーチンの実像』の共著書がある朝日新聞の駒木明義・元モスクワ支局長(現論説委員)は、こう話す。

「ゼレンスキー氏は、日本に『ロシア市場から企業を引き揚げる必要がある』と迫りました。日本はロシアへの経済制裁に参加していますが、米国や英国が撤退した極東ロシアにある石油・天然ガス開発プロジェクト『サハリン1.2』は続けたままだからです」

 ロシア側も、日本政府への対応を厳しくしている。21日には、日ロ平和条約の交渉の中断を発表。これで北方領土交渉も棚上げとなった。

「もともと、プーチン氏は北方領土交渉について、『北方四島の帰属はロシア』『在日米軍の撤退』『領土交渉は平和条約締結の後』という三つの条件を掲げていました。いずれも日本が受け入れられるものではなく、その意味では安倍政権の間も交渉はまったく進んでいませんでした」(駒木氏)

 東京新聞によると、安倍政権時の16年度から6年間で支出したロシアとの経済協力費は約200億円。22年度当初予算にも21億円の関連経費が含まれている。日本企業に投資された予算もあるが「ほとんどが無駄になった」(野党議員)との見方が強い。

 日本は地政学上からも、習近平氏とプーチン氏という二人の“エンペラー”と対峙(たいじ)しなければならない。第3次世界大戦が起これば、一気にジリ貧になりかねない。

 日本は地政学上からも、プーチン氏と対峙(たいじ)しなければならず、今後の外交戦略に頭を悩ますことになりそうだ。

週刊朝日  2022年4月8日号より抜粋