データサイエンスなど情報系を学べる大学が近年増えている。理系だけでなく、文系の学生も学べる文理融合型も少なくない。人気の秘密は何か。AERA 2022年4月4日号は「読解力とデータサイエンス」特集。
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4月に開設する近畿大学情報学部(定員330人)が人気を集めている。3月20日のオープンキャンパスに訪れた兵庫県の高校2年の女性(17)は言う。
「いまの世の中、情報、情報っていいますから、文系ですけど気になって見に来ました。施設も力が入っていますね」
壁面全体が大型スクリーンの空間で、学生は研究成果の発表や実験ができる。国内最大級の「eスポーツ」施設がある。授業でプレーだけでなく、イベントの企画、運営を学べる。
入学する兵庫県の金子裕亮さん(18)も期待する。
「コロナ禍に学校の休校もあって大変だったから、在宅勤務にも対応できる仕事がいいなと思いました。AI(人工知能)は間違いなく伸びていく、勢いのある分野だと思います」
■入試の倍率は10.7倍
同学部の2022年度入試の倍率は10.7倍。前身の理工学部情報学科の5.3倍(21年度)と比較すると、約2倍に伸びた。井口信和教授は明かす。
「予想をはるかに超えました。相当手ごたえがいい」
理工学部は理系の生徒たちが受験した。一方、情報学部は文系でも受験できる文理融合学部だ。プログラミングなどを学ぶほか、企業の担当者を招き、社会や企業の課題について学生たちがチームで考えて答えを出す授業を展開していく。ソニーの「プレイステーション」の生みの親として知られる久夛良木(くたらぎ)健学部長はこう語る。
「どうすればいいか、どこがわからないか、(チャットアプリの)Slack(すらっく)でアイデアを出し合うのです。そこに理系か文系かは関係ないと思います」
■「21世紀で最も魅力的」
こうした情報系の学びのなかでも注目されているのがデータサイエンスだ。日々生まれる膨大なビッグデータをビジネスに活用する。データサイエンティストは、米誌ハーバード・ビジネス・レビューで「21世紀で最も魅力的な職業」と言われた。
「近畿大学でも機械学習や統計など他大学のデータサイエンス学部で開かれている授業の8割は網羅します」(担当教員)