今季のJリーグは開幕節から計3枚のレッドカードが飛び出し、2月までのJ1合計20試合で計9人が退場になるなど“危険なプレー”の多さが話題となった。だが、サッカーの歴史は長く、世界は広い。過去には「これは酷い!」という退場劇があった。
【写真】サッカー界に衝撃を与えた「問題行為」をした人物といえば
激しさが特徴のプレミアリーグで「史上最もレッドカードに値する」と言われるのが、マンチェスター・ユナイテッドの闘将ロイ・キーンの「殺人タックル」だ。事の発端は1997年にキーンが十字靭帯断裂の大ケガを負った際、接触したアルフ・インゲ・ハーランド(当時リーズ)に「大げさに倒れこむな」と暴言を吐かれたこと。その4年後の2001年4月21日、マンチェスター・シティとのダービーマッチで、中盤のこぼれ球に反応したハーランドに対し、キーンは足の裏を向け、膝に狙いを定めたような悪質なタックルを見舞い、文句なしでの一発退場となった。キーンは15万ポンド(約2000万円※当時のレート)の罰金と5試合の出場停止処分を受けた。アーリング・ハーランド(ドルトムント)の父でもあるアルフ・インゲ・ハーランドは、このタックルが原因で現役引退に追い込まれることになった。
同じく“酷いキック”ではあったが、「伝説的」でもあるのが、マンチェスター・ユナイテッドでキングと呼ばれたエリック・カントナの「カンフーキック」である。1995年1月25日のクリスタル・パレス戦。ユニフォームを引っ張った相手DFへの報復行為で退場処分を受けたカントナは、ロッカールームに引き上げる途中、暴言を浴びせてきた観客に逆上。まさかの飛び蹴りをお見舞いし、さらに数発のパンチを浴びせた。この前代未聞の行為によって最終的に9カ月の出場停止処分を受けたカントナだったが、蹴られた観客(マシュー・シモンズ)が、その後の報道でいわくつきのフーリガンであり、カントナに対して差別用語を用いたことも判明。カントナ自身も反省の素振りは見せず、のちに「たくさんの良い思い出があるが、とりわけ気に入っているのは、フーリガンを蹴り飛ばした時だ」と語っている。