(4)理学療法士による運動療法

 昔は「腎臓病には安静が大事」といわれていましたが、近年の研究で、からだを動かし、筋肉を維持するほうが、患者さんの生命予後をよくすることがわかってきました。そのことを知っていただき、患者さんに合わせた運動療法を理学療法士が指導します。

(5)看護師による生活指導

 患者さんの思いに耳を傾け、退院後の生活の支援をおこないます。患者さんの生活スタイルや大事にしていることを尊重しながら、今後の治療に前向きになってもらうためのサポートを考え、必要に応じて訪問看護や訪問診療についての情報提供もします。

(6)薬剤師による服薬指導

 慢性腎臓病は症状にとぼしいため薬を忘れたり、飲まなかったりします。そうしたことがないよう薬を飲む目的や効果について、薬剤師から学びます(体調が悪い時には飲まないほうがいい薬もあるので、それらについても説明します)。

 さらに風邪薬や解熱鎮痛薬など、服用に注意しなければならない薬(腎機能の悪化につながるため)についても知ってもらいます。

(7)腎代替療法(人工透析や腎移植)について知る

 自分の腎臓が十分に働かなくなった時には人工透析や腎移植などの「腎代替療法」が必要になります。それらの治療について、入院中に学びます。患者さんや患者さんのご家族、医師、看護師が顔を合わせて患者さんに最適な腎代替療法について話し合う場をつくることも。院内で透析を受けている患者さんの様子を見学させてもらうこともあります。ときには透析あるいは腎移植患者さんと話を直接していただき、必要な患者さんには、医療制度の活用についてケースワーカーが説明します。

 教育入院はわれわれ医療スタッフにとっても、たくさんのメリットがあります。患者さんやご家族と対話の機会を多く持てるため、外来ではわからなかった日々の生活やその中で、何に困っているのかを知ることができます。病気の悪化要因を探ることもしやすくなります。信頼関係も深まるので、退院後はより効果的な治療ができるのです。

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