第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督(gettyimages)
第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督(gettyimages)
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「獲りました!!」。濱口竜介監督は高揚を隠さず、オスカー像を掲げながら、映画に関わった人々への謝辞を述べた。第94回米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」。その快挙はいかにして起こったのか。AERA2022年4月11日号の記事を紹介する。

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「アカデミー賞は何が起こるかわかりません。受賞が有力視されていても急に潮目が変わることがある。そのなかで『ドライブ・マイ・カー』が最後まで勢いを失わなかったのはすごいことです。濱口監督が舞台で堂々とスピーチされているのを見て、本当によかったと思いました」

 と、米ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト・猿渡由紀さんは現地の状況を伝える。

■白人ばかりから変化

 映画は村上春樹の短編小説が原作。妻を亡くした演出家で俳優の家福(西島秀俊)が寡黙なドライバーのみさき(三浦透子)と出会い、喪失と向き合い自身をみつけてゆく。昨年のカンヌ国際映画祭での4冠を皮切りに米国でも高い評価を受け、日本映画初の作品賞、脚色賞を含む4部門ノミネートを果たした。

「3時間じっくり映画を体験させる本作はアカデミー賞を選出する映画人たちにとって驚きであり、コロナ禍で失われていたシネマへの渇望を満たすものでした。主人公が演出家で俳優であり創作を描いている点も響いたのでしょう」(猿渡さん)

 総合映画情報サイト「オスカーノユクエ」管理人の芳賀健さんはアカデミー賞側の変化を指摘する。ノミネート作と受賞作は映画芸術科学アカデミー会員の投票で決まる。会員は俳優や監督ら9412人で、実はここ6年で3千人ほど増えた。この変化がポイントだという。

「15、16年と続けて演技賞部門の候補者が全て白人だったことから、#OscarsSoWhite(白すぎるオスカー)の抗議運動が起きた。それを受けて年配の白人男性ばかりだった会員の構成を変える取り組みが始まったのです」(芳賀さん)

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