いた。いました徹子さん。ビックリした。いやビックリするのもおかしいが。そりゃいるが。「徹子の部屋」だし。徹子の部屋に菊子さんがいたらビックリだが。誰だ菊子さん。ごめんなさい、興奮で何を書いてるのか自分でもよく分かりません。

 そりゃ興奮もするわな。緊張しつつご挨拶した僕に、徹子さんが満面の笑みで仰った第一声。

「あなた、毎日のようにテレビで見るから、初めて会うのに初めてな気がしませんね」

 ひ、ひ、ひええぇぇええ。もちろん毎日のはずもなく、リップサービスで仰ったのだと思うが、そして通常この場合、俺はいつも、「あなたの家に忍び込んでテレビに細工し、どのチャンネルをつけても僕が映るようにしたのです」と微妙な冗談を言うようにしているのだが、そんな軽口を叩く余裕などあるはずもなく、そして徹子さんに「え!?あなた、私の家に忍び込んだの!?いつ!?いつの話!?」と詰め寄られる気がしたのでその言葉は飲み込み、かろうじて返したのがこの一言。

「こ、こ、こちらこそです」

 ぎゃああああ。大先輩にもっと気の利いた返しができなかったものか。しかし一言は話せたので、ノルマまであと一言(←違)。

 そんな感じで始まった収録。内容は放送をご覧頂くとして、偉大な番組で偉大な人と幸運にも接することができた大勢のうちの1人として書き留めておきたいことを。

 妻と義母が徹子さんのファンだとお伝えしたところ、本当に嬉しそうに「ありがとう。嬉しい」と仰ったこと。

 本当に噂通り、徹子さんの手元にはビッシリ書き込まれたメモがあったこと。

 緊張だけで終わると思いきや、気づいたら徹子さんとお話できるのが楽しくて楽しくてしょうがなく、なんならこの人とずっと喋っていたいと思ったこと。

 それは、ご自身の話が、とてつもなく面白い上に、彼女が類い稀なる聞き上手で聞き手のプロで、さらにはこちらの良さや、喋りたいことをさりげなく引き出す会話の達人だからだと痛感したこと。

次のページ 収録後、満面の笑みで……