(週刊朝日2022年4月22日号より)
(週刊朝日2022年4月22日号より)

 10年繰り下げはさすがにハードルが高いので、70歳まで5年繰り下げた場合(60カ月遅らせるので42%増額)の金額を左の特大表に載せておいた。増額の効果は絶大だ。右から2番目の列が夫婦2人とも繰り下げた場合で、2人が有料老人ホームを利用するケースで65歳受給のときの半額強、「年金プラス1700万円」まで費用は下がる。70歳までフルタイムで働いて生活費を稼げるのなら、繰り下げがおススメだ。

 体力や気力の減退などでフルタイムがきつい人でも、アルバイト的な「チョイ働き」ならできる。先の澤木さんは、この「チョイ働き」を勧める。

「週に3日、1日6時間程度働くやり方です。都内なら鉄道の駅近くにある駐輪場の管理人や公共施設の受付など仕事はいっぱいあります。今、パートやアルバイトの時給は千円強ですから、月7万~8万円、年間では100万円稼ぐことも可能です。10年働けば1千万円が上積みできます」

■自助努力すれば負担軽減が可能

 金額を増やすことだけが自助努力なのではない。先の畠中さんが言う。

介護は情報戦です。知っているかどうかの差が大きい。情報戦に勝てた人は費用負担を抑えて、いい介護を受けられています」

 もちろん「いい情報」はネット検索では出てこない。畠中さんが勧めるのは、まずは地元の施設を見学することだ。公的施設は自治体にリストがあるし、有料老人ホームはネット検索で探せる。

「一つずつ見て回るのです。何人待ちかも直接施設に聞いてください。特養でも待機者がいないところがありますし、介護になる前に入るケアハウスで条件のいい施設が見つかることもあります」

 目が肥えてくれば、地元を離れてもう少し広い範囲で探せるようになるだろう。地方へ行けば、東京の半額程度ですむところもある。

「情報戦を戦える人は、80歳で1千万円なくても大丈夫だと思います」(畠中さん)

 もう一人、FPの鈴木暁子さんも、そんなに介護費用のことは心配しなくてもいいとする。

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