※イラストはイメージです
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 今の高齢者の元気な姿を見ていると、70代の間はアクティブに活動できる人がどんどん増えていくだろう。お金は元気なうちに使ってこそ楽しい。80歳で安心できる金額を知ることは、元気なうちに使えるお金を知ることにもつながる。

 では、どうすれば、その金額がわかるのか。老後資金だから、年金などの収入で生活費が賄えていればよし、足りなければ赤字分に残りの年数を掛ければよい、と思われるだろうが、それでは半分正解にしかならない。

介護の費用が入っていません。それをどう見るかで違ってきます」(先の畠中さん)

 確かに、そうだ。元気なまま逝ければよいが、認知症や寝たきりになって「介護」が必要になる可能性が誰にもある。

 実は、これまで語られてきた老後資金には、介護の費用は一切考慮されていない。若い世代の将来不安に火をつけた「老後資金2千万円問題」にしても同じ。毎月の生活費の赤字分、約5万5千円を30年分積み上げると約2千万円になるとするものだった。

 心身に衰えが出てくる80歳以降は、生活費の足りない分に加えて介護の費用も考慮しなければならないのだ。

 それでは介護にはいくらかかるのか。しかし、これが一筋縄ではいかない。人によって介護の必要度合いが違うし、どの程度の質を望むのかで費用が全然違ってくる。

 生命保険文化センターが「全国平均」の数字(2021年度)を出している。それによると、住宅改造や介護用ベッドの購入などの「一時費用」に「74万円」かかり、実際の介護にかかる費用は「月額8.3万円」で介護期間は「約5年1カ月(61.1月)」だった。すると介護にかかる総費用は次のようになる。

74万円+(8.3万円×61.1月)=581.1万円

 この数字を手がかりに介護費用を「1人800万円程度」と見込むのは、老後資金に詳しいFPの長尾義弘さんだ。

「これ以外に数年前に損保会社も同様の調査を行っており、両者を勘案して800万円としました。夫婦だと1600万円ですが、補い合うので丸々この金額はかからないかもしれません。でも80歳で介護費用として1千万円は準備する必要があるのではないでしょうか」

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