そして絵は間違いなく健康にしてくれます。絵に限らず芸術は人生にとって必要不可欠です。創作するのも観賞するのも、とにかく芸術に関わる生活は間違いなく幸せにしてくれます。


 アンリ・ルッソーの本職は税関吏で、趣味で絵を描いていました。誰の影響も受けない素朴な絵です。そんな絵がピカソの眼に留まって、彼は日の目を見ることになり、今では世界の巨匠です。そんなルッソーはプロを目指したわけでもなく、好きで描いていた絵の結果がたまたま彼に幸福をもたらしたのです。上手くなろうとしなくても、その日、その時の気分で描いて下さい。きっと人生が変ります。


横尾忠則(よこお・ただのり)/1936年、兵庫県西脇市生まれ。ニューヨーク近代美術館をはじめ国内外の美術館で個展開催。小説『ぶるうらんど』で泉鏡花文学賞。2011年度朝日賞。15年世界文化賞。20年東京都名誉都民顕彰

週刊朝日  2022年4月22日号

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼