特に与四球率が前半戦の4.70から後半戦は1.28となり、制球力が大幅に改善。スライダーの割合を増やし、ストライク先行の投球で安定感が増した。1918年のベーブ・ルース(13勝・11本塁打)以来となる「シーズン2桁勝利&2桁本塁打」にはあと一歩届かなかったが、

「大谷が好投しても打線の援護に恵まれない登板が多かった。他球団だったら12、13勝は挙げているだろう」

 と評価する声が多い。今季は2桁勝利も通過点にすぎないだろう。15勝も十分に狙える。

 気がかりな点もある。エンゼルスは昨季77勝85敗でア・リーグ西地区の4位に低迷。14年を最後にプレーオフから遠ざかり、今年も下馬評は高くない。

「問題は投手陣です。先発陣の陣容を見ると、明らかに手薄で大谷にかかる負担が大きい。プレーオフ進出が絶望になるとモチベーションを上げるのに苦労する。チームが勝ってこそ大谷も喜べる。そういう試合を一日でも多く増やせば、投打で成績も上がっていくと思います」(地元紙記者)

 大谷は昨年11月に日本に帰国して記者会見に臨んだ際、メンタルの整え方に質問が及ぶと、

「もちろん落ち込んだりしますし、最後のほうなんかはやっぱりメジャーに行ってからも一番、精神的にというか、なかなか、何ていうのかな、チームの勝ちもついてこないですし、ポストシーズンっていうその先の戦いも見えてこないなかでの戦いが多かったので、そういう意味では精神的にきつい場面っていうのは後半のほうが多かったので」

 と胸中を吐露している。今年はチームで白星を重ねて、大谷の満面の笑みを見たい。

(ライター・牧忠則)

AERA 2022年4月25日号に一部加筆

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