ご長寿大国として知られるニッポン。中でも、沖縄県の大宜味村は「世界5大長寿地域」の一つに選定され、世界からも注目を浴びている。畑仕事や社会活動にも熱心な、元気なお年寄りが多いのはなぜなのか。現地でその秘密を探った。
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沖縄本島北部は緑豊かな山地が連なり、やんばる(山原)と呼ばれる。昨年7月、ユネスコの世界自然遺産に登録された「やんばるの森」は沖縄県国頭村、大宜味村、東村の3村に広がる。亜熱帯では珍しい多雨林で、ヤンバルクイナやノグチゲラなどここでしか見られない生物が生息する。
なかでも大宜味村は、「長寿の里」としても世界から注目されている。健康で長生きの人々が数多く居住するエリアを「ブルーゾーン」と呼ぶ。イタリアの医師らが、長寿者の多い同国のサルデーニャ島の地図に青インクで印をつけたことが由来だ。2004年から米国人研究者ダン・ベットナーがナショナル・ジオグラフィックと組み、世界中の長寿地域を調査。4カ所のブルーゾーンを追加し、世界5大長寿地域を選んだが、その一つが大宜味村だった。
ブルーゾーンに共通する長寿の要因には「適度な運動を続ける」「腹八分で摂取カロリーを抑える」「植物性食品を食べる」「人とつながる」などが挙げられる。一般社団法人「日本抗加齢医学会」は、大宜味村でブルーゾーン研究会を実施。2月24日にセミナーを開くとともに、豊かな自然に囲まれた集落を歩き、長寿の秘訣を探った。
大宜味村の人口は22年3月末現在、3061人で、80代は246人、90代は154人、100歳以上は22人に上る。村内にある17の地区のうちの一つ、喜如嘉(きじょか)は、国の重要無形文化財である織物・芭蕉布の産地として知られる。喜如嘉で区長や民生委員を務めてきた大山美佐子さんが語る。
「うちの区には100歳になる人が4人いらっしゃいます。芭蕉布保存会会長の平良敏子さんは101歳。毎朝、誰より早く芭蕉布会館に行って、開館の準備をされています。デイサービスには送迎の車がないと行かないよという人が多いんですが、やはり101歳になるテルさんというおばあちゃんは元気にとことこと歩いてこられます」