SOとペアを組むSHは、ワールドカップ2015、2019と代表の中核を担った田中史朗(GR東葛)からの世代交代が進んでいる。昨年はワールドカップ2019組の流大(東京SG)や、茂野海人(トヨタV)、荒井康植(横浜E)とともに、大卒2年目の齋藤直人(東京SG)も代表に選ばれ、初キャップを獲得している。昨年はテストマッチの厳しさを経験した齋藤が、流と同じチームで出場機会が限られる中、リーグワンでどこまで成長できたか。

 日本代表のCTBは、中村亮土(東京SG)、ラファエレティモシー(神戸S)がワールドカップ2019から抜群のコンビネーションをみせてきた。その中で、昨年11月のポルトガル戦とスコットランド戦では24歳の中野将伍(東京SG)が中村と組んで先発している。高校日本代表、ジュニアジャパンと代表育成キャリアを歩んできた21歳の李承信(神戸S)らさらなる若手や新戦力の出現が待たれる。

 福岡堅樹が現役を引退し、フランスのクラブで活躍していた松島幸太朗(クレルモン・オーヴェルニュ)が負傷と、新戦力の登場が必須のバックスリー(WTBとFB)。昨年はCTBとして天理大学の全国大学選手権初制覇に大きく貢献したシオサイア・フィフィタ(花園L)らが起用された。昨年の欧州遠征メンバーに選ばれながら出場はなかった高橋汰地(トヨタV)、リーグワンでここまでの10試合で9トライの竹山晃暉(埼玉WK)らは実力をアピールする機会を得たら確実に生かしたい。

 新戦力といえば、防御を担当するアシスタントコーチに就任したジョン・ミッチェル氏も強力な新戦力だ。元ニュージーランド代表オールブラックスの同氏は2003年ワールドカップでヘッドコーチとしてオールブラックスを率い、3年前のワールドカップでは堅い防御でオールブラックスの攻撃を抑え込んで決勝まで進んだイングランド代表のディフェンスコーチを務めていた。世界有数の攻撃コーチであるトニー・ブラウン氏、スクラムコーチの長谷川慎氏らジェミー・ジョセフヘッドコーチの優秀なコーチングスタッフにさらに大物が加わったことになる。

 11月の欧州遠征ではワールドカップ本番でプール同組のイングランド代表との対戦が決まっている。代表争い、ポジション争いを勝ち抜いて夏のテストマッチシリーズを戦い、聖地トゥイッケナムスタジアム(ロンドン近郊)でラグビーの母国の代表と対戦する選手たちは、来年のワールドカップ代表に最も近い23人といえるだろう。