開幕前の2軍教育リーグの試合で、ソフトバンク・岡本直也が計測不能の超スローボールを投じ、話題になった。
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スローボールは打者のタイミングを外すのに効果的で、過去にも伝説として語り継がれるような超スローボールを披露した投手が何人か存在した。
スローボールが武器の異色投手として今も記憶に新しいのが、多田野数人(日本ハム)だ。
インディアンス(現ガーディアンズ)のマイナー時代、来る日も来る日も初対面の打者と対戦し、「情報のない打者をどうしたら打ち取れるか?」と研究を重ねた末に編み出したのが、超スローボールだった。
そして04年、メジャー昇格をはたした多田野は、同年9月2日のヤンキース戦で、メジャー屈指の強打者、アレックス・ロドリゲスに対し、山なりの推定80キロのスローボールを投げ、見事三ゴロに打ち取った。
07年の大学・社会人ドラフトで日本ハムに1巡目指名され、“逆輸入選手”としてNPBデビューをはたした多田野は、翌08年6月12日の巨人戦で、小笠原道大を94キロのフォークボールで空振り三振に切って取る。
「緩急を使う投手はたくさんいるけど、何なんだろうね?」と小笠原に首を捻らせた遅球は、ほんの序曲だった。
同18日の広島戦でも、多田野は5回、先頭のシーボルに対し、地上から約3メートルの高さに到達する超山なりのスローボールを披露し、遊ゴロに仕留めた。中空高く弧を描いた通称・イーファスピッチは、試合を中継していたテレビ画面からはみ出て見えなくなったことから、“消える魔球”と話題になった。広島市民球場の球速表示は107キロを記録したが、明らかに誤作動。後にテレビ朝日の報道番組「スーパーJチャンネル」の中で独自に算出したところ、48キロだったことが判明した。
さらに7月12日のソフトバンク戦でも、レストビッチに対し、推定40キロ台の魔球を投げ、「消えた」とうろたえさせたあと、次の変化球で三振に打ち取った。
その後、この“多田野ボール”は、出身地・墨田区の名所にちなんで“スカイツリーボール”と改称されている。