女性のマスターベーションについてはニキさんが話を振っていた。急に振ったのではなく、宮台氏が男女の性愛にこだわるような調子で、
「『婦人公論』には過去15年20年、中イキしたことがないという悲鳴に満ちている」
と話したことがきっかけだった。婦人公論そんな雑誌でしたっけ……と驚く。(ちなみに婦人公論はここ数年はセックス特集を組んでいません。念のため「中イキしたい」という声って届いていますか? と、さきほど婦人公論関係者に電話をしたら「そうかも」と仰るので、「え?」と驚くと、「長生き」と聞き違えとのことでした。少なくとも「悲鳴に満ちている」現象は関係者も、そして婦人公論読者の私でも確認できなかったです)
偉かったのはニキさんで、「中イキしなきゃいけませんか?」と、まっとうな質問をしてくれたのだった。それに対して宮台氏は「しなきゃだめってわけでもない」と言いつつAVの話を持ち出し、こう語った。
「代々木忠(AV監督)が描いたように、女性は性愛で失神したり、号泣したり、過呼吸になったり、聞こえない、見えないという状況に誰でもなれる」「女の人はそういう可能性があるのに、それを使えないでそのまま死んじゃうんじゃないかとみんな焦り始める」……で婦人公論に「中イキしないッ」と悲鳴を届ける(←本当なんですか?)というのである。AVで表現されたことがリアルだと思っているんだ……と衝撃を受けてしまう。(ちなみに私は20年以上前、代々木監督をインタビューしたことがあります。性器に頼らずにオーガズムに導く作品を撮っていた代々木監督は、取材中に私の手をとり「感じるよ」というようなことを言いながら指をこすってきました。←同意の上です。でも、なかなか終わらず……感じるフリをしたほうがいいのかな、AVに出演する人は大変だな……と困惑したことを久々に思い出しました)
で、女性のマスターベーションである。「中イキ」の話に対しニキさんが、最近はインスタ映えするバイブが紹介されたり、セルフラブの話をしたりする女性が増えてきた、というような話をしてくれたのだった。男女の性愛にバイブ返しである。すごいな、この人! と感動していたら宮台氏がプチキレ気味な感じでこう言い切っていた。
「(マスターベーションは)自己本位なんだよね。自分に閉ざされている。自分さえよければいいってね。性愛のポイントは相手に入られ、相手に入り、融合する、フュージョンすることだから。外から何か入って、外に入る、のがない状態で性的な幸いがあるというふうに思うのは、すごい偏っていると思います」