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北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

 例えば娘ほど年の離れた女性に、60代男性は楽しそうに昔を振り返る。

「昔は公園でみんなセックスしてた。それをのぞいている人たちもたくさんいた。僕もセックスしまくって、のぞき見してる人たちと友だちになったりしたんだ」(宮台氏の発言です)

 30代女性は驚く。

「そういうの見かけたらイヤだなと思っちゃうかも」(ニキさんの発言です)

 60代男性は昔をどんどん思い出すのか、さらにこんなことも言ってしまう。

「昔は、大学のコンパで先生が学生を持ち帰るということも普通にあった。(僕)東大だったけど」(宮台氏の発言です)

 30代女性は驚く。

「高校生の頃はマンガでそういうの憧れたけど(略)今は、その関係は権力の乱用ではないのかと考えてしまう」(ニキさんの発言です)

 始終まともなニキさんだが、60代男性は昨今の日本の若者を憂えてこうも語る。

「性的な退却が進んでる。最近はピーク時の半分以下しか若者がセックスしていない」(宮台氏によれば1997年がピークだという)

 30代女性は冷静に聞く。

「それは、悪いことなんでしょうか?」

 パーソナリティーのニキさんはゲストの宮台氏を否定することなく、「宮台さんに100%は同意できない」という態度を失礼にならない軽やかさで表明し、自分の感覚を率直に語るのである。才能である。

 私にこの番組を「聴いて」とすすめた友人は、「聴いたら不愉快になるかも」と言っていたのだけど、もしこれが同世代の男性2人が「昔は公園でたくさんやった」「俺、のぞいてたほうだった」「ガハハ」という話であれば途中で聴けなくなっただろう。「持ち帰り」という言葉が垂れ流されることに胃が痛くなったかもしれない。でも、時代の空気を生きているニキさんが「権力の乱用ではないのか」とか「言葉の同意はないのですか?」などという言葉をサラリと使いながら対等に話している空気に、時代が確実に変化していると希望を感じられたのだ。

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現代女性のまっとうな問い