しかし、チームの5位以下が確定し、残り9試合となった9月25日のオリックス戦から騒動が再燃。外野応援団が陣取る右翼席には「つまらないシーズンをありがとう」「全員死刑」などとフロントを過激な言葉で非難する横断幕がいくつも掲げられた。
翌26日も横断幕は撤去されず、試合後、西岡剛が外野応援団に向かって「子供たちの夢を壊さないでください」と訴えるひと幕もあった。
だが、外野応援団は西岡を「偽善者」などと批判。27日のオリックス戦では、西岡を誹謗中傷する横断幕を掲げ、応援をボイコットした。
これに対し、一般ファンやオリックスの応援団が“剛コール”を送り、外野応援団に「帰れ!」と叫ぶなど、スタンドは異様なムードに包まれた。
一連の騒動後、外野応援団は10月6日の本拠地最終戦の試合前に謝罪し、解散した。
勝っても負けても贔屓のチームを応援しつづける気持ちは皆同じ。たとえどんな理由があっても、骨肉相食むような争いは2度と見たくないというのが、ファンの本音だろう。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。