安浪京子さん(撮影/掛祥葉子)
安浪京子さん(撮影/掛祥葉子)
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 中学受験を考えるご家庭では親がどこまでサポートするべきか悩みどころ。子ども4人が東大理IIIに合格したことで有名な佐藤亮子さんと中学受験カウンセラーの安浪京子さんが対談し、中学受験から高校、大学受験まで役立つノウハウをまとめた書籍『親がやるべき受験サポート』から、受験のための親の心構え、やるべきことについて紹介します。今回は、安浪先生からのアドバイスです。

【写真】ノートを開いてみたら何を書いているのかさっぱり?

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 前回の記事で佐藤さんは算数において式や図を書くことの重要性を述べていましたが、これはまったく同感です。しかし、何度も言いますが、子どもはとにかく書くことを面倒くさがります。

 算数はとくに顕著です。式を書かず、落書きやメモのような筆算、覚え書きがあちこちに散らばっているノートや問題用紙は本当に多いですね。

 こういった子に、親や先生が「式を書きなさい」と言うと、返ってくるのは「書かなくても解ける」という答え。中には「塾の先生が書くなといった」と言う子もいます。

 たしかに、「式を書くな」と言う塾の先生も一部いるようですが、そういった先生が子どもを伸ばした例を見たことがありません。そんな先生を見ると、私は「モグリの先生だな」という印象を持ってしまいます。

■理解していなければ書けない

 さて、算数において式や図を書かない子の大半が、実は「理解できていないから書けない」という現状なのをご存知でしょうか?「どんなことでもいいから書いてごらん」と優しく促すと、鉛筆を握りしめて固まること数秒……。

「えっと、どうやって書くんだっけ」と子どもは降参します。

 そんな子にはまず、とにかく板書を写してくるよう伝えます。ところが、子どもは“目についたものだけチャチャッと写しておしまい”にするので、家に帰ってノートを見ても、解き方の全貌がわかりません。そのため、とにかく「先生が書いた通りにすべて写す」ことを徹底させます。

 また、子どもは、塾の先生の板書やテキストの解説を「説明するために書いている」と勘違いしていますが、線分図や面積図、式は「解くために必要だから書いているもの」です。

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壁にぶつかる子どもの特徴とは?