元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 コロナ時代が私にもたらしたものの中で最大の「よかったこと」について書く。実はこれを決断したのは少し前で、今更ではあるがやはり書いておこうと。

 私、ついにマイレージカードを卒業いたしました!

 きっかけは無論、飛行機に乗る機会が激減したこと。マイルを貯めたとていつ使えるやらと思ったらやめられた。嬉しかったのは、これで、いわゆる「ポイント」の世界からほぼ完全に足を洗えたことだ。今や何でもかんでもポイントポイント、お国ですらポイントを餌に国民を動かそうとする時代に逆行しすぎと思われるでしょうが、やってみればこれほど爽快なことはないのだよ。

 私が最初にポイントに違和感を抱いたのは会社を辞めた時である。無給生活に突入したので最初は必死にお得なポイント情報を探しまくっていたんだが、ふとポイントって大企業の「囲い込み」じゃんと気づく。自分なりに勇気を出して大企業を辞めたのに、その大企業に搾取されに行くってバカすぎやしねえか? こんなことでのっけからブレてちゃ先が思いやられる。で、やせ我慢をしつつほとんどのポイントと縁を切った。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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