ポイントと縁を切るとカード類が激減し、財布がえらくシンプルになりました(photo 本人提供)
ポイントと縁を切るとカード類が激減し、財布がえらくシンプルになりました(photo 本人提供)

 そうしたら、これが我慢どころかノーストレス。何がいいって、ポイントについて一切考えなくていいこと。少しでもお得なポイントが貯まるよう買う相手や時期を注意深く選ぶことも、うっかりポイントを貯め損なって落ち込むことも一切なし。好きな時に好きな店で必要なものを買うだけ。無論ポイントは貯まらぬが、そもそもモノを買わないので大した影響もない。限りある人生を思えば、ポイントに振り回される案外膨大な時間もエネルギーもゼロってことが何よりお得である。

 さらに、その日のことはその日に決着をつけるってのが精神衛生上実に良かった。結局、未来に期待することと、未来が不安になることは同義なのだ。未来に希望も禍根も持ち越さず、今を生きれば不安は去る。私はポイントを貯めたつもりで案外不安を貯めていたのだと思い知る。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

AERA 2022年5月2-9日合併号

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