写真右:天野篤(あまの・あつし)医師。順天堂大学順天堂医院心臓血管外科特任教授。2002年に同院同科教授に着任。主任教授を経て、21年から現職

天野:DPC(診断群分類別包括評価、病名や診療内容に応じて定められた1日当たりの定額の点数で、入院診療費を計算する制度)や学会のアンケートにのっとった形でデータ収集されているのでアンケートに協力しやすいですし、手術数など客観的なデータを載せてもらえるので、私は好意的に受け止めています。

渡辺:データについてはかなり正確に調べられていますし、さきほどお話ししたように、特に胸部の領域においては手術数が多いところが、一般的には手術が上手であるとか、合併症が少ないということにつながりますので、患者さん、あるいは患者さんの家族にとっては参考になるかと思います。

■外科医が考えるいい病院、いい外科医とは!?

渡辺:では、セミナーをご覧になっている皆様から事前にいただいた質問に答えていきたいと思います。最初の質問は、「外科医が考えるいい病院、いい外科医とは?」というものです。

天野:難しい質問ですが、いい病院は患者さんの安全を守ることをきちんと前面に打ち出して、感染対策などの管理も厳重に、かつ患者さんに負担をかけない形でおこなっているというのが大前提ではないでしょうか。

 その中で外科医が大規模な研究データやそこから出されるエビデンス(科学的根拠)にのっとって、治療計画を立ててくれること。具体的には患者さんの受ける手術について、過去にどういう形で症例として学会に報告されているか、経験として報告されているかをもう一度、きちんと調べる。効果やリスクを点検してくれる、そういう作業をしてくれる外科医がいる病院であることが大事です。その上で医師に技術や経験があることですね。

 これらのうち、技術と経験に関しては「手術数でわかるいい病院」などのムックや雑誌、インターネットから得られる情報を参考にしていただければいいのかなと思います。

渡辺:いい外科医であり続けるためには、さきほどの河崎先生のコラムの話につながりますが、医師は常に勉強し、最先端の知識を入れるべきですね。私も「昼間手術をしたら、夜もよく勉強しなさい」と若い医師にはよく言っています。

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