「ふるさと納税という制度は、100点満点で80点くらいでしょうか。高く評価しています。返礼品が地域経済の活性化や地域創生に役立っています」

 これまで総務省だけを見ていた地方自治体が、広く国民を意識して「知恵比べ」をはじめた点は画期的だという。

「税収が減った都会の自治体があるのはわかります。でも、民間企業はずっと競争してきたんですよ。東京23区であっても工夫の余地があるのでは?

 たとえば墨田区は東京スカイツリーでの食事券を返礼品として出したら、大人気になった」

 個人にとって一方的に取られるだけだった税金だが、納める先の選択肢ができた。行政は民間の考え方が少しずつわかるようになってきた。それだけでも有意義。

 予備校講師を辞めて23歳で無職、1年で公認会計士、ベストセラー作家からユーチューバー。ターニングポイントを自分でつくり、着実にステップアップしてきた山田さんならではのアドバイスがある。

「自分から動くことです。今、家計が苦しい人は、何らかの公的制度の対象となっているかもしれません。私は大学受験の直前に阪神・淡路大震災に見舞われ、住む家をなくしました。

 当時、自分に合う公的制度は見つからなかった。そんなとき、大手予備校が受験生に学生寮を開放すると聞き、すぐに問い合わせました。本来は浪人生向けだったのですが、必死で事情を話したらこっそり寮に入れてくれました」

 最後の山田さんの言葉が心に響いた。

「住所や職業が変わると、周りにいる人も変わり、生活も変わります。現状に不満があるなら動くこと、探すことです。何もしなければ何も変わりません」

(編集・文/大場宏明、編集部・中島晶子)

 ※この記事は抜粋版です。「AERA Money2022夏号」で全6ページにわたる全文をお読みいただけます。

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