学生時代はとにかく食べなかった。もともと痩せ型で食欲旺盛なタイプではない。
「ラーメンが好きで、5食パックの日清チキンラーメンをよく買っていました。予備校の先輩に何度も食事をおごってもらったなぁ。貧乏学生時代のいい思い出です」
大学卒業後の山田さんは東進ハイスクールに入社して上京。現代文と古文、漢文の講師を目指したが、すぐ辞めた。
「東京の雰囲気が合わなかったのか……いわゆる五月病のようになってしまって『これは違うな』と。現代文の先輩にはカリスマ講師の林修先生がいらっしゃいました」
東進を退職し、実家のある神戸市に戻った山田さんは23歳、無職だった。
「駅前にあった資格の学校『TAC』を訪ね、担当者に相談しました。手に職をつけたい、収入の高い仕事に就きたい。先方がすすめてきたのが公認会計士でした」
公認会計士? 山田さんは法学部でも経済学部でもなく文学部卒。つまり会計の知識はゼロなのに?
「しかも1年コースですよ。公認会計士の1年コースって(笑)。でも、公認会計士の収入は結構高いと知り、やってみることにしました。勉強はハードでしたが、予備校講師をしていた経験から試験ものには強かったのか、無事1年で合格しました」
TACの学費は約50万円。学生時代のアルバイトの蓄えが少しあったので、お金は自分で出した。
公認会計士の試験は司法試験と並ぶ最難関といわれる。大学卒業後も挑戦し続ける浪人生や社会人は少なくない。TACの公認会計士1年コースは山田さんの華麗な一発合格後、ほどなくして消滅した(現在、ウェブメインの1年2カ月コースあり)。
ふるさと納税も山田さんの得意分野の一つ。自分で選んだ自治体に納税(寄付)して、返礼品を受け取る制度である。山田さんは制度発足の2008年から、ふるさと納税をウォッチしてきた。市区町村が納税の受け付けを締め切る毎年12月に山田さんのふるさと納税動画の視聴回数は伸びる。
近年は自治体の間で返礼品の豪華さをめぐる競争が過熱した。ついに総務省は還元率の上限を3割とする規制を設けた。
一方で、神奈川県川崎市や東京都練馬区は、本来入るはずだった税収が他の自治体に流れ、財源不足に陥り悲鳴を上げている(いずれも公式サイトで発表)。