ドーベルと同期で3歳時(旧馬齢表記)にG3ラジオたんぱ杯3歳ステークスを勝ったメジロブライトは、クラシックこそ皐月賞4着、ダービー3着、菊花賞3着と父同様の無冠に終わったものの、98年にメジロではマックイーン以来となる天皇賞(春)制覇を果たした。
ブライトの半弟にあたるメジロベイリーもG1勝ち馬。自家生産の種牡馬を重視していたメジロ牧場としては珍しく社台ファームの名種牡馬サンデーサイレンスの産駒で、2000年にG1朝日杯3歳ステークスを勝って最優秀3歳牡馬に選ばれた。ちなみにこの年はラジオたんぱ杯3歳Sにアグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネが出走。最強世代談義では高確率で話題に上る01年クラシック世代だったが、ベイリーは皐月賞前に故障離脱している。
長距離戦の天皇賞を目標としての生産ゆえにメジロは牝馬の活躍馬が少なかったが、ドーベルが出るまでメジロ史上最高の名牝と謳われていたのがメジロラモーヌ。86年に桜花賞、オークス、エリザベス女王杯をすべて勝ち、いわゆる牝馬クラシック三冠を達成した(当時は秋華賞はまだなかった)。
この年限りで早々に引退して繁殖入りすると、シンボリルドルフとの産駒で「十冠ベイビー」として注目されたメジロリベーラ、サンデーサイレンス産駒のメジロディザイヤーなどを送り出したが、活躍馬は残念ながら出なかった。
ラモーヌの半弟、メジロアルダンはキャリア3戦で挑んだ88年のダービーでサクラチヨノオーから0.1秒差の2着に惜敗。脚元の弱さで大成しきれなかったが、古馬となってから天皇賞(秋)で3着、2着などオグリキャップ世代の名脇役として存在感を発揮していた。
そのほかにも、三冠馬ミスターシービーを相手に皐月賞とダービーで2着と善戦したメジロモンスニー、障害レースで活躍したメジログッテンやメジロファラオ、短距離を主戦場とする異色のメジロとして活躍した持ち込み馬のメジロダーリングなどを出してきたメジロだが、2011年5月にメジロ牧場の解散が決定。すでにメジロの名を冠して走る競走馬はなく、今では血統表の中にその名を残すのみとなっている。(文・杉山貴宏)