<スーパーマーケットにおせちのポスターがあるのを見て、もうすぐお正月だなと思っていたら、3歳くらいの女の子が、そのポスターを見て、黒豆をタピオカと間違えていたんですよ。かわいいですね>
と、ただ状況説明しただけでは、おもしろさが半減してしまいます。人の気持ちが動いたセリフをはぶくと、一本調子のお堅い「報告書」になってしまう。せっかくおもしろい出来事に遭遇したのに、この伝え方ではもったいないですし、長くは聞いていられません。
「高速道路催眠現象」はご存じでしょうか。似たような景色、信号もない、速度もほぼ同じという状態で長時間走り続けていると、単調で眠気に襲われる、というものです。この言葉を知ったとき、「トークと同じ!」とヒザを打ちました。
起伏のない話をずっと聞いていると、コックリコックリ……。教室で、会議室で、講堂で、あなたにも経験がありませんか?
■なりきってみると、うまくいく
そこで、役立つのがカギカッコ。
自分が耳にした会話の中で、思わず笑ってしまったこと、心が動いたことから、部分的にギュッとつまんで再現してみます。相手の頭の中に情景が浮かび、話の内容も生きたものとして伝わります。
もちろん、私たちは芸人でも俳優でもないのですから、感情を込めて演じなきゃ!とハードルをあげる必要はありません。
「ちょっとだけ再現していますよ」と相手にわかるように、セリフの前にほんの少し「間」をとってみたり、少しだけ声色を変えてみたり語尾の「?」や「!」を意識するだけでOKです。
会話の中に、他の人が口にしていたセリフをひとつ取り入れてみる。それだけで、あなたの話の登場人物たちが生き生きと動き出しますよ。
【ここまで聴いてくれたあなたへ】
あなたの心が動いたあの人の言葉、カギカッコをつけて再生してみる。
(構成/小川由希子)