医療×経済の視点を身につけよう　医学生のうちに知っておく！　医療経済学

　近年、医師の資格をもちながら起業する医療起業家「ドクトルプレナー」にも注目が集まっている。

「2000年代から、コンサルティングやIT分野で起業する医師が徐々に増えてきました。収入面では当たれば大きいものの、マネーリテラシーを身につけておかないとリスクもあります。けれども、近年は大学の医学部と連携したスタートアップや産学連携も活発になっています。そうした環境面では、有利な状況が整ってきていると思います」

　これからの医療を担う医学生は、医療経済学とどのように向き合えばよいのだろうか。

「時代の変化をとらえるためにも、幅広い視野が求められます。医学生のうちは、日本の医療や社会保障の現状、病院経営など社会の仕組みを理解すること、さらにそうした仕組みが自分たちの行う最新医療を支えているという意識をもってもらえたらと思います。また研修先を選ぶ際に、その病院の医療面だけでなく、理念やマネジメントについて考えてみるのも意義があるでしょう」

　真野氏自身の今後の目標を聞くと、医療界と他業種の橋渡しに関心があると語る。

「教育者としてのミッションは、幅広い視点を持った医療者の育成だと考えています。私が教えている大学院でも、ITなど他業種から医療分野に参入したいという人が増えています。その際にお金稼ぎだけが目的であるとか、短期間でいいとこ取りをしたいという姿勢だと、うまくいきません。他業種の方に医療界のマインドや文化を伝えることで、新規参入者と医療者が共存共栄しつつ新たなフィールドを切り開いていける、そのための教育の場を提供したいと考えています」

※週刊朝日 　2022年4月29日号