お笑いコンビ・ピスタチオが5月31日をもって解散することが発表された。伊地知大樹と小澤慎一朗の2人から成るピスタチオは、不気味な衣装と髪型の2人が独特の間合いで会話を進めて、ときどき白目をむく「白目漫才」で注目され、2015年頃に大ブレークした。
同時期に人気を博したバンビーノ、クマムシ、8.6秒バズーカーと4組で全国5都市を回る「OPARTY」というライブが開催されたこともあった。
彼らは、ネタの中ではまともに話すこともおぼつかない不気味なキャラクターを演じていたため、ネタ以外の場面でそれを上手く生かせずに苦労しているように見えた。
ネタをやれば盛り上がるのだが、普通に話すときにはそのキャラクターを封印することになるので、見る側に違和感を与えてしまう。2人が作り上げたキャラクターの完成度が高かったからこそ、そこに足を引っ張られたようなところがあった。
特に伊地知は「元No.1ホスト」という異色の経歴を持つ自他ともに認めるチャラ男芸人であり、ネタのキャラクターと本人の実像のギャップが大きかった。コンビとしての人気がやや落ち着いてからは、個人で恋愛相談ライブや婚活イベントなどの仕事を行っていた。
ピスタチオのように特定のネタやキャラクターで注目されて一時的に絶大な人気を博した芸人は、世間では「一発屋芸人」などと呼ばれることもある。
悪い意味で使われることが多い言葉ではあるが、プロの芸人の間では一発でも当てた人は尊敬の対象になる。ほとんどの芸人は一発も当てられないまま去っていく厳しい世界であると誰もが身にしみてわかっているからだ。「一発屋芸人」は広く世間に届く何らかのものを残した実績のある芸人であり、無条件でリスペクトされる存在なのだ。
そんな「一発」を見事に当てた芸人が、二発目を当てるのは本当に難しい。ただでさえ大ヒットするネタを作るのは大変であるのに、すでに当てている人はそのイメージが世間に浸透しているため、別のことをやると違和感を持たれやすいのだ。