今年もやってくる、ジメジメした梅雨。低気圧の接近とともに、体調が悪くなる経験をしたことはないだろうか。近年、それらは「低気圧不調」や「天気痛」などの名前で認知されつつある。気になるそのメカニズムと対処法を探った。
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「天気が急変して気圧が急激に変化すると、激しい頭痛や身体のだるさを感じたり、眠くなったりすることがよくあります」
と語るのは、声優として活躍するせんすさん。気圧変化の影響から生じる身体の不調に悩むことが多々あるという。
「低気圧のために本調子で仕事ができなくなってしまうことも珍しくありません」
ひどいときには日常生活にまで支障をきたすこともあるというが、年齢・性別問わず、20代女性のせんすさんと同じような症状に悩む人は少なくない。記者の周囲だけでも、30代から50代まで、天気の急変にともなう頭痛や倦怠感などの体調不良を感じ、天気に左右されることで困っているという声を、多くの友人・知人から聞くことができた。
気圧が低い日や寒暖差の大きい日が増える梅雨シーズン。梅雨があけると今度はゲリラ豪雨や台風など、急激な気圧変化が起こることも多くなる。そんなときに起こる頭痛や倦怠感、めまい、気分の落ち込みなどの不調は、近年、注目され、「気象病」や「低気圧不調」などと呼ばれるようになってきている。
中部大学教授の佐藤純医師は、これらの症状を専門に研究し、なかでも天気の悪さによる痛みの悪化や寒暖差による不調を「天気痛」と命名。愛知医科大学病院・いたみセンターで国内初の天気痛・気象病外来を開設し、“天気痛ドクター”として患者に向き合っている。佐藤医師がこう語る。
「『天気痛』自体は命名される以前から存在したのでしょうが、最近は5月でも梅雨のはしりのような天候が続いたり、急な雷雨などで気圧が急変する日が増えたりしたことで、症状に悩む方が多くなっていると考えられます。人類が発展する中で生み出した異常気象が、自分たちの体にストレスとなって跳ね返ってきている面もあるのでしょう」