つまり、「個人がどの程度の感染リスクを負うかを考えて行動せよ」ということになります。私が訪れたロサンゼルスの感染リスクは中程度でしたので、ワクチンの追加接種を済ませていて、既往歴がなく重症化リスクの低い私は、「重症化のリスクの高い人と接する機会が高い人にマスクの装着をすればいい」ということになります。また、その後訪れたサンディエゴの感染リスクは低程度でしたので、「私の個人的な好みに基づいてマスクを着用すればいい」ということになり、私は自分で着用しないことを選択したということになるわけです。
新型コロナウイルスは根絶されず、共存していかなければならないとなると、誰かの指示に従うのではなく、マスク着用において個別具体的な判断が必要であるのではないかと私は考えています。
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山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)