プライベートでは、16年12月17日に、都内・押上の中華「太楼ラーメン」のママさん、好江さんと再婚。米国遠征時代に身につけた調理技術を生かし、自ら厨房(ちゅうぼう)に立ち、鍋を振っていた。
「もともと、お客だったんですよ。ワンタンスープがおいしいってうわさを聞いて、13年の夏くらいにブラッと立ち寄ったのが最初」(後藤さん)
しかし、最初に訪れたときの後藤さんは、サングラスに甚平、雪駄ばき、しかも額も腕も傷だらけという姿。
3歳年下の好江さんが「反社系の乱暴者?」と早とちりしたのも無理はない。
「ひと目見て、『他のお客さんとのトラブルを避け、早く帰ってもらおう』と思いました。それでカウンターは空いていたのですが、誰もいない奥の座敷に通してワンタンスープを頼まれたのに、ワンタン抜きのスープをお出ししました」(好江さん)
だが、後藤さんはそんな思惑もつゆ知らず、「ワンタン抜きなのは、出汁(だし)にワンタンを使っているに違いない」とこれまた早とちり。週を空けずに通うようになった。
「それが嫌で、いつだったか、レバニラ炒めを注文されたときにレバー抜きのニラ炒めを出したこともありました。ひどい塩対応でしょ(笑)」(好江さん)
関係が好転したのは、常連客が後藤さんは現役のプロレスラーであることを好江さんに伝えてから。
「驚いたのは、誕生日が同じで、小学校は学年違いの同窓生だったってこと。僕は静岡県島田市出身ですが、一時、妻の家族が島田市に住んでいたんです」(後藤さん)
後藤さんは一見こわもてだが、口調は「です、ます」で丁寧。「リングと違い普段は温厚で、ファンサービスも熱心」(前出のプロレス雑誌の元編集者)。「赤い糸が見えた」の言葉通り再婚に踏み切った。
そんな後藤さん。老後についてもこんな話をしていた。
「妻と一緒に、のんびりと南の島とかに旅行したいですね。新型コロナでここ2年は店の経営が大変でしたが、落ち着いてきたらお金をためてぜひ実現したいと思っています」
心からご冥福をお祈りいたします。
(高鍬真之)
※週刊朝日6月17日号のワイドに短縮版