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■責任感の強い人ほど陥る沈黙破り

 対面して会話をするときも、同じように「間」は意識したいもの。

 会話はその場で生まれる言葉のやりとりなので、毎回ぽんぽんと淀みないラリーのようにはなりません。相手が発した言葉を受け取って理解し、自分が言葉を選ぶ時間もかかります。相手の言葉に対して即答第一主義で返してばかりいると、自分自身はもちろん、相手の考える余地も奪ってしまって、口先だけのやりとりになってしまうことも。

 インタビューでありがちなのが、「間」を怖がって相手の言葉を邪魔してしまうケースです。私も相手が答えに迷っているとき、その沈黙に耐えきれなくなって、「こういうことですか?」「例えばこんな感じですか?」などと、よかれと思って勝手に答えを先回りしたり、誘導してしまった苦い経験があります。

 相手にしてみたら、「ちょっと待って、あなたが聞いてきたから、今答えようとしているのに……」と、急かされているようで、とにかく落ち着きません。

 これはオンラインで話をする「リモートあるある」としても悩ましい現象です。微妙なタイムラグがあるせいで、無言の時間がいつもより長く感じられますし、言葉がぶつかってしまい「あっ、ごめんなさい、どうぞ」「いえいえ、そちらこそどうぞ」とダチョウ倶楽部状態。

 会話の中で発生する無言の時間には、相手が一生懸命言葉を探していることが少なくありません。責任感が強い人だと「ここは自分がなんとかしなきゃ!」「私が助け舟を!」と言葉をはさみたくなりますが、相手にしてみれば、それは自分のペースを乱される余計なカットイン。

「間」を怖がらず、言葉をはさまずふんわり笑顔で待つのが正解。じっと見つめるとプレッシャーに感じる人もいるので、「いつまでも待っていますよ、ゆっくり考えてくださいね」という思いで。「いったんボールは相手に渡したんだし」と、ジタバタしない。

「しーんという瞬間があっても大丈夫」と思えるようになれば、「早く何か言わなくちゃ」という不要なプレッシャーから解放され、会話ができるようになります。

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「シーン……」自体がいい味に