「今ある仕事は10年後になくなる」などと言われ、従来のロールモデルの崩壊が進む今、子育て世代は悩みでいっぱい。子どもの興味をどう見つけ、伸ばす? どうやって絆を深める? ともに2人の子どもを育てる父である絵本作家のヨシタケシンスケさん(48)と、憲法学者の木村草太さん(41)。二人が考える「子育てのキモ」とは。子育て世代はもちろん、孫育て世代も必読だ。
【写真】2児の父である絵本作家のヨシタケシンスケさんと憲法学者の木村草太さん
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──親になってみて、実家の教育に感謝していることはありますか?
ヨシタケ:はい、お先にどうぞ(笑)。
二人:ハハハハハ。
木村:では私から。母が司書だったので、図書館の使い方を教えてくれたことですね。裏に閉架という本棚があり、頼めばそこから出してくれる仕組みを教わって、いろんな本を読めたのがうれしかった。自分の子どもを図書館に連れていく習慣もできました。
ヨシタケ:僕の母は呉服屋の一人娘で、就職せずに結婚して子どもを産んだんですが、いい意味で苦労をしていない。だから世の中を根本的に「いいもの」ととらえていて、「なんとかなるんじゃない?」って、無責任なほどポジティブでした。僕自身は心配性だったので、母の楽観的な態度に助けられたな、と思います。
──子どもとの会話で気を付けていることは?
ヨシタケ:親だからできることがあるけど、それと同じくらい親だからできないこと、子どもに届かないことがあるんですよね。正しいことも、親が言ったからってだけの理由で採用されないとか。それを自覚して、誰経由なら子どもに届くかなと考えたほうが、お互いのためになると思います。
木村:子どもにはそれぞれ好きなことやできることがあるので、それに合わせて話せば反発されにくいと思います。できないことには、反発がありますよね。たとえば子どもに英語を教えようとしたとき、全く英語に興味がない状態の子どもに、そのタイミングで教えるのは無理だと思います。
ヨシタケ:それはすごく感じます。最初の子どもって、親は舞い上がってるから、3歳からバイオリンをやらせたりしたんですが、全然続かない。僕も楽器はよくわからないから、ほめ方がわからなくて。それでは、子どもも興味を持続できないんですよね。だけど、子どもが絵を描いていると、何が難しくて、どこを見てもらいたいのかが、なんとなくわかるんです。