ヨシタケ:納得できないこと、ありますよね。

木村:好きなことは納得しなくてもどんどんやりますよね。たとえば、世界の国の首都は、役に立たなくても勝手に覚えましたから。でもやはり、九九を覚えていないと困るっていうのは、大人の言うとおりでした。小学校で習うことで、覚えないと困ることのトップテンに入ってると思います、九九って。

ヨシタケ:たしかに。

木村:子どもには、切迫感をもって伝えたほうがいいと思います。怒るとか、仕事につけなくて苦労するよ、みたいな損得の話じゃなくて、(真剣な表情で、一息おいて)やらないととんでもないことになるよ、って。

ヨシタケ:大事なのは、その顔ですね(笑)。

木村:そうですね。子どもに注意したり、怒ったりすることはありますが、それを攻撃とは思わないで、というのはわかってもらえるといいですよね。それと、好きなものを見つけると同時に欠点も自覚して受け入れたほうが、子ども自身がラクになるかもしれません。

ヨシタケ:実際、僕が子育てをしてわかったのは、「親はブレる」ってこと。教育本や記事に影響を受けて、子どもが振り回されてかわいそう、なんて思うけど、どこのご家庭も、割とそうなんですよね。子どもに伝えたいのは、ブレちゃうけど、根っこには、子どもに幸せになってほしいし、家族で楽しくしたいって気持ちがあるんだ、申し訳ないねってこと。自分が子どものときにそう言われていたら、もう少し大人を許してあげられたかもしれません。そもそも、きょうだいで同じ育て方をしても、全く逆の結果が出ることもある。結局は、ちゃんと一人ずつ話を聞いて、その子に合わせるしかないですよね。

木村:成長段階によっても、何をすべきかは違いますしね。ただ、いつも話を聞く姿勢は、持ち続けるようにしています。「今日、学校で何をしたの?」と日々声をかけるだけでも、会話が広がります。それから、子どもにたくさん選ばせ、自ら考える経験をさせてあげたいですね。(やや不気味なネコとネズミの絵を見せて)これは、小学校の読み聞かせボランティアで使ったものです。これを子どもに見せて、「何だと思う?」って聞くと、みんないろんな意見を言ってくれるんですよ。

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