■60代後半頑張り「老後盛り」満喫
考えるべきは、60代後半の生活をどうするかに絞られる。資産が多い人なら、その取り崩しで対応する手もないではないが、大半の人は60代後半も働いて生活の糧を得ることになるだろう。
先のFPの藤川さんが言う。
「シニアの男性の方々の中には『働くのが楽しい』という人が数多くいらっしゃいます。あくまで個々人の状況しだいですが、働くのが喜びで、65歳以降もそこに収入がついてきて生活が成り立つのなら、繰り下げを実践するのもよしとなる場合があります」
また最近、働くことと資産の取り崩しなどをミックスさせて60歳代後半を乗り切り、繰り下げを成功させる「WPP」(Work longer,Private pensions,Public pensions)の考え方がとなえられているが、これを取り入れるのも一つの手だろう。
先の澤木さんによると、企業年金があったり、自分で個人年金を作ってきたりした人は、フルタイムで働かなくても「WPP」ができるという。
「私は週3日1日6時間程度の“チョイ働き”を老後に実践することを提唱していますが、夫婦で“チョイ働き”をすれば夫が月10万円、妻が同8万円ぐらいにはなります。これに企業年金が同5万円、個人年金も同5万円あれば、月に28万円ですから十分生活できます」
60代後半をひと頑張りすれば、豊かな「老後盛り」が待っている。あなたは、どの選択肢を選びますか。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2023年1月27日号