ユーティリティ性の高さを示した伊藤
ユーティリティ性の高さを示した伊藤

 限界説が囁かれて久しいベテランの長友佑都(FC東京)、最終予選でその長友をサポートするような形で起用されてきた中山雄太(ズウォレ)にしても攻撃面で多くを期待できないことを考えれば、高さに加え、スピードのある伊藤の出現は明るい材料だ。

 今シリーズでは主将の吉田麻也(サンプドリア)とともにCBとしてプレーする機会の多かった板倉滉(マンチェスター・シティ)にも安定感があった。板倉がCBとして計算できるなら、今回はチームに帯同しながらケガの影響で出場機会のなかった冨安健洋を所属先のアーセナル同様に右サイドバックに回すことができる。本大会でのドイツやスペインとの対戦を視野に入れれば、4バック全員が185センチ超えという高さのあるDFラインは魅力的で、伊藤が4試合中3試合で起用されたことは森保監督の期待の表れだったといえるだろう。

 一方で、攻撃に目を向ければ、課題は少なくない。長くCFを務めてきた大迫勇也(ヴィッセル神戸)が今回コンディション不良で招集を見送られたなか、浅野拓磨(ボーフム)、古橋享吾(セルティック)、上田綺世(鹿島アントラーズ)が入れ替わるように起用されたが、大迫の穴を埋めるような選手は見つからなかった。ともにスピード系の浅野と古橋は持ち味を発揮したとは言い難い。Jリーグでシューターとして得点力を発揮し、その能力を高く評価する声もある上田にしても、出場時間に対しボールに触れる回数は少なく、ボールを保持していない時の貢献度が他選手に比べ劣ると考えれば、W杯での強豪相手との試合での起用は難しいと考えるのが普通だ。

 4-3-3を基本に短い時間ではあるが、3-5-2、4-1-4-1、4-2-3-1に近い布陣をトライする機会はあったが、どの布陣にしても攻撃は伊東純也(ゲンク)、または三笘薫(ユニオン・サンジロワーズ)の個人技への依存度が高かった。

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鎌田自身は手応えを口にするが、その評価は?